赤ペンPの添削日記
由無し事を徒然に書き連ねる日記。
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瞬発力というか爆発力というか。
夏休み代わりの有給を取って、せっせと動画の作業を
やりつつも、息抜きで街に出て、すっかり忘れていた
「BLACK LAGOON」の9巻をよーやく買って一気に読了。

ロックがいい感じで本性を出しつつある感じもたまらないし、
キリングメイドのターミネーターっぷりもよかったんだけど、
このエピソードはファビオラがかっこよかったね(笑)。

って、これじゃ読んだ人以外は全然わからないなぁ。
それはある程度仕方ない事を前提に、ふと思ったことを。
なんでかっこよかったという感想が出てきたのか。

さすがに簡単な前提条件の説明は必要でしょう。
ものすごくザックリ書くのでご了承ください。

主人公の一団がいて、今回のエピソードの中心人物がいると。
その中心人物は、このマンガの初期の頃にも登場していて
今回はいわばセカンドエピソード。そこから合流してきたのが
このファビオラというメイド。

・・・ああ、その中心人物についてはこちらをご参照あれ。

トカチP


このロベルタの下にいる以上、普通のメイドではないんだけど(笑)。

このファビオラ、途中まではご主人様に仕えるメイドという
ポジションなりの存在だったんだけど、今回の9巻の途中から
ガラリと立ち位置を変えて、それまでは主従関係ゆえに
押し殺してきたであろう本音をブチ撒ける
わけです。

その変化が意外でもあり、かつ爽快な感覚がするんですよ、
なんて事を書いておけば普通の感想としては悪くないんだけどね。

マンガに限らず、お話を構成する登場人物ってのはその役割ごとに
出番が多い少ないの差があります。その出番の中で自己主張することで
物語が回っていくわけなんですが、当然主役級はその機会が多く、
チョイ役は少ない。
まぁ当たり前のことです。

でも、作品として目に見えている部分では確かにそうだけど、
実際にはチョイ役にだってチョイ役なりの積み重ねがあるわけですよ。
銃撃戦の中でただ撃たれて呻いて死ぬだけのチョイ役は、
別に物語の中で主張する必要はないけど、例えば彼が30歳だとしたら
主張するに足る30年分の何かが当然あるわけで。

でも、そこまで考えようとしたら簡単に破綻しますよね(笑)。
人物の設定の話じゃないけど、以前ここでリアルとリアリティの話をした時に
例に挙げた、無駄にリアルなリアリティのない野球ゲームとか、
「実際の生活のように何でも出来るゲームにしよう!」という高尚な
理想を掲げて作られたシェ○ムーがそれを傍証してる(笑)。

これも以前アイマスに絡めてこのブログで書いた話ですが、
16歳の女の子は、本当は16年かけなければ「創り出す」事は
できなくて、でもゲームとして見える部分だけをキチンと
用意してあげればお話はちゃんと回っていくのだから、
1~2年という開発期間の中で、16年の積み重ねの「結果」の部分
考えるわけです。その話と相通ずる部分があると思います。

そんなわけで、それぞれの登場人物たちは、それぞれなりに
用意されたものを、それぞれに与えられた出番の中で
全て吐き出さなければいけない。そう、与えられた時間で、全て。
それが出来るキャラは魅力的だし、出来ないキャラは魅力がない。
そして与えられた時間が異なれば、その吐き出し方も変わる。

「BLACK LAGOON」で言えば、ロックをはじめとする主人公たちは
途中退場の可能性はゼロではないけれど、このマンガそのものが
終焉を迎えるまでの猶予があるから、その全てを今ここで
吐き出さなければいけないって事はありません。
今回のエピソードの中心に位置するロベルタやガルシアは、
既に最初のエピソードで吐き出す機会を得ています。

で、話を戻してファビオラ。
彼女がそれを一気に吐き出すのは、この9巻の半分を過ぎてから。
もっと言えば、単行本3冊半に及ぶ今回のエピソードの冒頭から
物語に関わり続けているのに、最終コーナーに差し掛かった場所で
ようやくその機会が巡ってきた。


作者が同じように考えていたかどうかはわかりませんし、
そこからエンディングまでが彼女の全てという事もないでしょう。
でもこの時点でこの物語のために必要な要素
全部さらけ出しているような気がします。

その爆発力が生み出す煌きが、「かっこいい」って感想の
根っこになってるのかな、と思います。
他のエピソードの彼女の居場所はない。だからここで全てを
出さなければ、もうその機会はない。
それは絵であり人間の創作物である彼女の存在証明が、
もっと言えば「生きる」機会が無くなる事を意味するんでしょう。

余談だけど、マンガでよく「キャラクター人気ランキング」って
やるじゃないですか。そこで主人公を差し置いて脇役キャラが
1位になったりするケースがありますけど、それはこういう理屈と
無縁ではないのかなーなんて思ってみたり。

エピソードの最後でも語られているように、恐らくこの先、
今回の中心人物たちが舞台に上がることはないでしょう。
でも、自分たちに与えられたものを全て吐き出した以上、
もう舞台に上がり続ける必要はないし、納得のいく退場の形。
それでいて、このマンガが終わった後に振り返れば、
その世界を彩ったメンバーとして確実に名前を挙げてもらえる、
そういうインパクトを残したんじゃないかな。

エピローグで黄昏るロックと張の会話は、引き続き舞台の上で
役回りを演じ、何かを吐き出し続けなければならないキャストから、
そうやって舞台を幸せな形で降りたキャストへの賞賛と羨望と
多少の怨嗟を込めた言葉
のようにも見えました。

限られた時間を全力で駆け抜ける存在と、
そういう存在のための時間や場所を維持し続ける存在。
物語が回る舞台の上には、いろんな要素が必要なんだなぁ。

その世界観から、決して万人に進められる作品ではないけれど
やっぱいいなーこの作品。第3期が来年OVAでスタートするらしいし、
もうしばらくお付き合いが続くことになりそうです。

という事で、作り手としての赤ペンPを刺激するマンガのお話でした。
その瞬発力や爆発力のようなものは、お話を転がす上では
とても大事な要素
ですからね。とりわけ私は長距離走的な
作り方をする分、不足しがちなエッセンスですし。

だからと言ってこういう空気の作品を作るわけじゃないけどね!(笑)
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Author:赤ペンP
都内某所に潜伏し、ひっそりアイマスMADを製作中。表向きはうだつの上がらないサラリーマン。人生のモットーは、なだらかに昇りなだらかに落ちる放物線。

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