赤ペンPの添削日記
由無し事を徒然に書き連ねる日記。
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サンデーサイレンスの話をしよう。(その1)
ウマ娘ブームに便乗して競馬の話を書くコーナー!
想定を大幅に上回る長文になったので今日は前編!!

最初にお断りしておきますが、恐らくこの文章は
ウマ娘の攻略にはいっさい役に立たないと思います(笑)。
初心者の方向けに書いてはいますけど、内容的には
ウマ娘のゲームや世界観からはちょっと踏み込んだお話。

でも、この馬の事は是非知っておいて欲しいんですよね。
ウマ娘に登場するキャラクターの多くに関わりがあるし、
何より今の日本の競馬を語る上で絶対に外せない1頭なんで。
なのでこの文章は多分「中級者向け」くらいかな。

あと、別にその気になればググるなりwikiでも調べるなりすれば
いくらでも情報は出てくるから、それで事足りるって人は
もう引き返してくれ「大したこと書いてない」とか思われたくない(笑)。

では早速行きましょう。
先日の大阪杯、出走馬の血統を見ながら
「なんかディープインパクトばっかじゃね?」
って感想を持った人も多いと思いますが、ディープの名前を
出すならば、その父親についても語らなければ。

「たった1頭の種牡馬が、日本の競馬を塗り替えていく」

私が本格的に競馬を追い始めた1995年は、
まさにその始まりの年だったのです。

サンデー

その馬の名は、サンデーサイレンス。
1989年のアメリカ年度代表馬。



今日の時点でウマ娘のこのページに掲載されてる
72人のモデルとなった競走馬のうち、
サンデー産駒がデビューする前に走っていた
34頭を除く、残りの38頭について調べると。

フジキセキ/ヒシアケボノ/マヤノトップガン/マーベラスサンデー/
エアグルーヴ/シーキングザパール/シンコウウインディ/サイレンススズカ/
タイキシャトル/メジロドーベル/マチカネフクキタル/スペシャルウィーク/
セイウンスカイ/キングヘイロー/グラスワンダー/エルコンドルパサー/
テイエムオペラオー/メイショウドトウ/アドマイヤベガ/ハルウララ/
アグネスデジタル/エアシャカール/アグネスタキオン/ファインモーション/
マンハッタンカフェ/ゼンノロブロイ/スイープトウショウ/カワカミプリンセス/
ウオッカ/ダイワスカーレット/スマートファルコン/トーセンジョーダン/
ナカヤマフェスタ/エイシンフラッシュ/カレンチャン/ゴールドシップ/
キタサンブラック/サトノダイヤモンド

太字になっているのがサンデーの血を直接的に引く馬。
赤はサンデーの子供、黒はサンデーの子供の子供。
全部で15頭はそこまで多くないように見えますが、
現時点でのウマ娘のモデルはサンデーの血が広がっていく途中の
時代に活躍した馬が多いので、それを考えれば十分すぎる割合です。
現に最近まで現役だったキタサンとサトノはともに該当してる。

現在の日本のサラブレッドは、ここに「母の父サンデー」とか
「父の母の父サンデー」みたいなパターンも入ってきますから、
サンデーサイレンスの血を引かない馬を探す方が難しい、まである。
日本競馬にどれだけ影響を及ぼしたか、という話です。

そのサンデーサイレンス、血統はこんな感じ。
netkeibaから引用させていただいてます。
ここ、無料でもいろんな情報にアクセスできるから
興味がある人はいろいろ見ると面白いですよ。

サンデー血統

アルファベット表記されているのは海外の馬。
他の馬の血統を見るとカタカナ表記の馬もいますが
それは日本で走ったり種牡馬・繁殖牝馬になった馬です。

父のヘイローはなかなか優秀な種牡馬で、
サンデー以外にも多くのG1馬を世に送り出しています。
先日のエントリで取り上げたグッバイヘイローや、
ウマ娘的にはタイキシャトルの父デヴィルズバッグ
このヘイローの産駒です。

ただ、母のウィッシングウェルは重賞こそ勝ってたものの
その子供にはこれといった活躍馬もなく、
何より生まれてきたサンデー自身が、足が曲がっていて
見た目がイマイチだった事で、セリで売り出しても
誰も見向きもせずに売れ残り、どうにかこうにか競走馬として
デビューできたような存在でした。

一方、同じ世代にはイージーゴーアという馬がいました。
こちらは父が三冠レース全て2着だったアリダー。そう書くとアレ?ってなるけど
全て1着だったのがアファームド、つまりは三冠馬。その最大のライバルでした。
母もG1勝ち馬リラクシングというビッカビカの良血馬で、
もちろんこちらはデビュー前から皆の注目を集めていた存在。

血統も注目度もまるで違うこの2頭。
絵に描いたような「雑草」vs「エリート」の構図。
そんな2頭がライバルとしてアメリカ競馬を引っ張る…なんてドラマが
ホントに実現するのが競馬の面白いところでして。

1989年のアメリカ競馬クラシック戦線は、三冠レース全てが
この2頭のマッチアップとなりました。
ケンタッキーダービーとプリークネスSはサンデーサイレンス。
ベルモントSはイージーゴーア。
「雑草」が努力で「エリート」の上を行く、なんて
ホントよくできた結果だなぁと思ってみたり。

特にプリークネスSでは、最後の直線でサンデーサイレンスが
並びかけたイージーゴーアに噛み付きにいったとされるシーンが
ファンの間では語り草となっています。



そしてアメリカ競馬の祭典であり総決算の
ブリーダーズカップクラシックで2頭は再び対決し、
サンデーサイレンスが勝利。この年の年度代表馬に
選ばれることとなります。
他のレースも含めた動画も貼っておこう。



翌年に怪我で現役を引退したサンデーサイレンスは、
当然のように種牡馬として活躍を期待されるわけですが…
ちょっと待ってくれ、こんなにアメリカで活躍した馬が、
なんで日本に輸入されることになったのよ?

日本の馬だったら、例えばコントレイルやアーモンドアイが
海外に行くとか考えられないわけじゃん?

先ほど書いたように、そもそも両親の血統が
素晴らしいとは言い難いものだったというのもあるし、
「2歳時の見た目の悪さ」も影響していたようです。
アメリカでは種牡馬としての評価ポイントとして
若い時に高値で取引されたかどうか、ってのがあるらしく、
足が曲がっていたせいで誰も買い手がつかなかったサンデーは、
強い馬ではあったけど種牡馬としてはどうなんだろうね?
みたいに思われてたようです。

そんな折に、以前からサンデーの馬主や関係者と
懇意にしていた日本人が、「是非買いたい」とオファーを出した。
その日本人の名前は、吉田善哉。
日本の生産界をリードする社台グループを創設した、
競馬界における最重要人物の一人。
バブル経済華やかかりし頃とはいえ、それまでの人間関係が無ければ
さすがに外国に輸出するという選択肢はなかったようです。

ちなみにライバルのイージーゴーアも同じタイミングで引退し、
こちらはそのビカビカの血統からアメリカ国内で種牡馬として
大きな期待をかけられていました。
ただ残念な事に、心臓麻痺で早くに無くなってしまい、
わずかな産駒しか残すことができませんでした。

さて、そんなこんなで日本にやってきたサンデーサイレンス。
芝のレースが主流の日本に、アメリカのダートで活躍した馬。
血統が凄いわけでもないし、果たして日本で成功するんかね?
と、当時から識者の意見も別れてたようなんですが。

さぁ、ここからが本題だ(苦笑)。

サンデーサイレンスの産駒は1994年にデビューしましたが、
2歳馬が走り始める6月に、もう初勝利をあげています。
勝った馬の名前はキタサンサイレンス

はーい、ウマ娘をやってる人でなくてもピンときましたね?
キタサンブラックでおなじみサブちゃん・北島三郎(大野商事名義)の所有馬
調べてみたら1973年から出走がありますね…1980年代の末あたりから
みんなお馴染み「キタサン」の名前の馬が走り始めます。

その後7月の札幌3歳S(現・札幌2歳S)を
プライムステージが勝って重賞初制覇、
年末の朝日杯3歳S(現・朝日杯フューチュリティステークス)を
フジキセキが勝ってGⅠ初制覇。マジか。どんだけ勝つんだ。
日本の競馬界に文字通りの激震が走ります。

この年のサンデーサイレンス産駒は、6月からデビューした
2歳馬だけで重賞4勝を含む30勝を上げました。
サンデーと同様にこの年デビューした新種牡馬どころか、
既存の種牡馬も入れた2歳馬の成績ランキングで、
サンデーは2位にトリプルスコア以上の大差をつけて
ぶっちぎりの1位を獲得。新人王&MVPみたいなもんですわな。

これはマジでヤバい事になるかも知れない。
関係者やファンがそわそわしながら迎えた翌年、
1995年の春のクラシック戦線。

競馬ではレースの上位5着までが場内の掲示板に
表示されるわけですが、この年の4つのGⅠレースで
(注:NHKマイルカップはこの翌年創設なのでまだ無い)
レース結果の掲示板がどうなっていたかというと。

<桜花賞>
ワンダーパヒューム/ダンスパートナー/プライムステージ/ライデンリーダー/ユウキビバーチェ

<皐月賞>
ジェニュイン/タヤスツヨシ/オートマチック/ホッカイルソー/イブキタモンヤグラ

<オークス>
ダンスパートナー/ユウキビバーチェ/ワンダーパヒューム/オトメノイノリ/プライムステージ

<日本ダービー>
タヤスツヨシ/ジェニュイン/オートマチック/ホッカイルソー/シグナルライト

並びは着順、太字がサンデーサイレンス産駒。
掲示板に載った20頭(延べ12頭)のうち
サンデー産駒が9頭(延べ5頭)。
3勝を上げ、牡馬クラシックは共にワンツー。

それこそ今のディープインパクトのように
「この馬の子供は走る!」なんて事はわかってない、
初年度の産駒がいきなりこんなに活躍した。
しかもこれ、前年の朝日杯を勝ったフジキセキが
怪我で引退して出走してなかったんですよ。
「幻の三冠馬」と言われたエースを欠いてのこの成績。

最終的にこの年のサンデーサイレンス産駒は重賞11勝を含む100勝。
4歳以上の古馬の成績も加味した他の種牡馬にまじって
2歳馬と3歳馬の2世代しか走っていない種牡馬が、
全種牡馬を総合したランキングの1位に輝くことになります。

ちなみに種牡馬のランキングは「勝利数」ではなく
「産駒が稼いだ賞金額」で決まるので、こういう事も
理論上はあり得るわけですが、ホントに起きるとはね…
と思って今回改めて調べたんだけど、実は出走した馬の頭数は
そこまで少ないわけじゃないんです。
ランキング2位のノーザンテーストが出走回数588回なのに対し
サンデーは488回。100回しか違わないんだけど、
獲得した賞金額はサンデーの方が8億円ほど多いわけです…。

つまり、若い時期から健康に育ってちゃんとレースに出走し、
しかも大きなレースを勝ちまくるからこそ、この結果になる。
こんな理想的な種牡馬が出てくるなんて!

当然ながらサンデーサイレンスは馬産地で大人気になり、
日本の競馬の風景は一気にサンデー一色に染まります。
それ以降の成績は書き出したらキリがないので一覧表で。

サンデー種牡馬成績

1995年から2007年まで13年連続で種牡馬ランキングトップ。
2002年に亡くなるまで毎年活躍馬を世に送り出し、
重賞を311勝、うちGⅠは42頭が71勝を上げています。

普通、GⅠ勝ち馬が出たらノータイムでその種牡馬の
代表産駒に挙げられるんだけど、サンデー産駒の場合は
こんな状況なので、GⅠをひとつ勝った程度では
名前を挙げてもらえない、という凄まじい有様です。

なんでサンデーサイレンスはこんなに成功したのか。
なるべく簡単に説明すると、ポイントは2つ。
有識者の皆さん、初心者向けだから細かいツッコミは勘弁な(笑)。

1.日本の競馬にピッタリの「瞬発力」を伝える

日本の競馬場は世界的に見ても非常に整備の行き届いた、
例えて言えばF1マシンがレースをするサーキットみたいなコース。
だから「最後の直線でアクセル全開!」みたいな戦法が有効。
その、アクセルをガンと踏んだ時に一気に加速していく力を
サンデーサイレンスは子供たちに伝えるんです。

せっかくだからウマ娘的に説明すれば、
「最後の直線で効果を発揮するスキルをガンガン継承する」
という表現になりますかね。それもスキルpts消費ゼロで。

2.お母さんの個性を大事にしてくれる

これだけだと何のことやらわからんね(笑)。
他の種牡馬、例えばみんな大好きサクラバクシンオー。
この馬だって非常に優秀な種牡馬なんだけど、
産駒の成績を「勝ったレースの距離別」で見てみると。

バクシン距離別

これは芝のレースのみの成績。
自分も1200m~1400mで活躍した馬だったから、
産駒の成績も本人同様「バクシン!バクシン!!」なわけです。

そもそもそういう馬だったから、配合のお相手も
どちらかと言えば短距離向きの牝馬が多い、という事は
確かにあるんですが、それにしてもバクシンオー産駒は
期待に違わず父親の特徴が産駒に強く出るタイプです。
長距離のレースにはそもそも出走すらほとんどしていないし。

…その馬の名前が母の父のところに入ってたらさ、
長距離戦は絶対苦手だろ、って思うじゃん?それが普通じゃん??

キタサン

…こういう事があるから競馬はいつまでたってもわからんのよ…。
たぶんあなたの近くにいる競馬おじさんの多くが
菊花賞「いやいやいや母父バクシンオーじゃ距離持たんでしょ」
天皇賞「菊花賞は同世代だけだったから古馬に交じったらダメでしょ」

という流れで2回馬券を外してるはずです…だよね…そうだよね…(落涙)。

派手に話が逸れた。
一方のサンデーサイレンスは、ダートの1600m~2000mくらいを
得意としていた競走馬でした。じゃあその産駒はと言うと。

サンデー距離別

こちらも芝のレースのみ。母数が違うから単純比較はできませんが、
短距離から長距離まで幅広く活躍する馬を送り出しています。
配合相手のタイプ次第でいろんな産駒が生まれるんですね。

ウマ娘的な説明だとちょっと違っちゃうけど、イメージとしては
「全距離、芝ダートとも適性オールAかBの馬を因子に使ってる」
みたいな感じかなぁ。強いというか、差がないという意味で。
母親の個性を邪魔することなく、しかももれなくみんなに
「瞬発力」という武器を追加でプレゼントしてくれる。

2000mの皐月賞から3200mの春の天皇賞までを勝った
ディープインパクトみたいな産駒がいる一方で、
1200mのスプリントGⅠを勝ったビリーヴもいるし、
皐月賞の後にマイルCSも勝ったジェニュインもいれば、
ダートGⅠを制したゴールドアリュールまでいたりする。

…えーと、これでサンデーサイレンスという馬が
いかに「ヤベー奴」なのか、多少なりともご理解いただけたでしょうか。
他にも先ほど書いたように「若いうち(2歳~3歳)からよく走る」とか
いろんな要素があるんだけどね。

ちなみにこれは余談なんだけど、サンデーは「気性の荒さ」
産駒によく伝えています。これがプラスに出れば闘争心溢れる、
走る気に満ちた性格になりますが、マイナスになると荒っぽくて
手に負えない性格という形になったりする。

これは完全にサンデーの父親であるヘイローからの遺伝みたいですね。
ヘイローはとにかく荒っぽいというか狂気じみた性格の持ち主で
他の馬や人に危害を与えないよう拘束具付きで移動させていたとかいないとか…。
ウマ娘的には「笑えないゴールドシップ」をイメージしましょう。
あのドロップキックを殺意満々で喉元狙って突き刺してくる的な。

さて、このエントリの冒頭に
「たった1頭の種牡馬が、日本の競馬を塗り替えていく」
と書きました。確かに産駒の成績を見れば、
この言葉に嘘偽りはないとご理解いただけるかと思うんですが…

ここまででまだ、話の半分なんだわ(驚)。

半分とはすなわち「レースとしての競馬」の部分。
残りの半分は、「生産としての競馬」、
その血を後世に残していく、という面からのお話です。

という事で、このクッソ長い文章もまだ半分!
後半へ続く!!

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Author:赤ペンP
都内某所に潜伏し、ひっそりアイマスMADを製作中。表向きはうだつの上がらないサラリーマン。人生のモットーは、なだらかに昇りなだらかに落ちる放物線。

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