赤ペンPの添削日記
由無し事を徒然に書き連ねる日記。
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赤ペンPの動画レビュー番外編(その2)
今回は珍しく、一番最初が一番長い文章。

「3A07」は、ニコマスの枠を超えて非常に広い範囲の人たちに機能しました。
普段はニコマスを扱わないような層のブログなんかでも話題になっていましたし。

で、ニコマス民的な褒め言葉の一つとして
「ニコマスはここまで来た!」
みたいなのがチラホラとあったんです。

私はそれにちょっと違和感を感じていました。
というか、内容はさて置くとしてこの作品に対して
こんな事を感じながら見ていたんです。

「多分ここがニコマスの限界だなー」って。


ここで言う「限界」にはいろんな意味が含まれるんだけど、
例えば動画製作の手法、環境的限界なんてわかりやすいでしょうか。

確かこの時は夏前くらいから製作が始まったのかな。
動画制作は当然、自由に使える時間の中で行うわけだけど
これは合作ですから、そこにはさらに制約が加わります。
打ち合わせのために時間を合わせたりとかね。

限られた時間の中で、それも3人だけで、いろんな事を
すり合わせつつ、自分のリアルの仕事もこなしながら、
20分以上の作品を作る。
確かこの3人は、当時は住んでいる場所もまるで違っていたと
記憶しているので、直接顔を合わせて相談するわけにも
行かなかったでしょう。
当然、そこにかかる時間と労力の負担は莫大だったはずです。

その詳細に関してはRAPさんのブロマガをご参照下さい。
多分あれでも事実の半分くらいしか表現してないと思いますが。

さて、それではその負担を軽減する事はできるのかどうか。

思いつく方法論として、各担当をさらにチーム分けして
作業を分散させれば、労力はだいぶ減るはずです。
連絡体制を確立させるという前提条件はあるでしょうが、
例えばキャラの動きのような部分は、それこそ人数を増やして
担当分けを行い、使用するツールや機材を統一し、
ある程度まで各担当が製作したものを集約して
最終的なチェックや修正を一括して行う、ってな具合。

3人はそれぞれの部門のリーダーみたいな立ち位置になって
それぞれの担当の作業を進めていく。チェック担当みたいな
部門も設ければ、相当な労力を軽減できますし、
浮いた労力をさらなるクオリティ向上に使う事もできるでしょう。

・・・まぁ、実現可能かどうかはさて置くとして。
もし仮にこういう方法を実際に使って
「3A07」級の、あるいはそれを上回る作品が出来たとする。

その動画を、果たして「ニコマスの動画」と呼んでいいのかどうか。

ニコニコ動画上にアップロードされた、アイドルマスターを
題材にした映像作品、という意味においては、ニコマスの動画でしょう。
でもここまでの労力を費やして動画を作る作業を、
果たしてどれだけの人ができるのか。主体的にはもちろんですが、
この「工程の一部」に入っていける人ですら、どれだけいるか。

そういったものを要求する創作物という存在。
私は自分で動画を作っていて、そこまでのものを
想像した事はありません。イメージ出来ない。
そりゃ自分なりに苦労やら努力やらはしますけど、
その範疇のはるか向こう側の話です。

もっと生々しい事を書くならば、そういう作品と
自分が作る作品を、同じ「ニコマスの動画」という
括りにされると、なんと言うか、その、困る(苦笑)。
こっちの方が逃げたくなるわ(さらに笑)。

このあたりの考え方は人それぞれだとは思います。
いい悪いに関しては論じる事はしません。
とりあえずここでは、「3A07」という作品は
そういう領域に片足を突っ込んだ、それだけの
尋常ならざる労力が費やされている作品である、
という事だけが私の主張です。主張?(笑)

RAPさんがブロマガで書いている通り、
「3A07」のシナリオには、様々な推敲の跡が
見て取れます。それは物語の要請としてそうなったもの、
クオリティ向上のためにそう変えたもの、というのが
多々あったでしょう。

でも、それらのうちの何割かは確実に、
「個人レベルの労力で完成させるために加えた修正」
であったはずです。その事にもブロマガでは触れられてますね。

恐らく「3A07」という作品は、合作であったが故に
そのギリギリのラインにもっとも近づいた、というか
「近づいてしまった」作品なのかなと思います。
限界というのは、そういうことです。

さて、先ほども書いたように、趣味に対して
どこまで労力を割くのかの線引きは当事者の問題であり、
私のような外野が良し悪しを論ずるものではありません。
ただ、ここまで来てしまうと、当事者ばかりが
向き合えばいい話ではなくなってくるのかな、
なんて事も考えたりします。

少し、動画そのものから離れた裏話。

「3A07」が公開された翌年、2010年新春。
親しいニコマス関係者が集まって、ちょっとした
新年会代わりの飲み会が開かれました。
その場でシネMAD3rdの主催をしていた、
哀川翔Pと話す機会があったんです。

前回、2ndの時に運営のお手伝いをちょっとだけやっていた
ご縁もあって、3rdの時も依頼を受けたんだけど、
リアルの事情でお断りせざるを得なかったという事もあり、
そこでの話は自然と3rdの話になりました。

そこで彼が言うには、「もう4thは無いですねー」と。

もともと哀川翔Pは
「ガッツリと取り組んだ合作ですげー作品を世に出したい」
という趣旨でこの企画を立ち上げていました。
それは「3A07」で実際に達成された形になったから、
彼のプライベートの事情と併せて、もう開催するつもりは
ないのかなと、一瞬思ったわけです。

ところが話をしていると、どうもそればかりではないらしい。
私の想像と少々違う答えが返ってきたんです。

「この企画に賛同してくれた人たちとはいえ、
 これ以上、ただの趣味の話なのに、無償で、無報酬で、
 見知らぬ他人を拘束する事は、自分にはできないです」


シネMADという企画は、その当初から
合作メンバーが徹底的に「やり合って」作品の質を
上げていく前提を設けていて、故に参加者選出に際しては
そういう形での創作活動ができる人なのかどうかを
考慮して人選をしていました。趣味でやってる事なのだから
そういう激しさや厳しさを創作に求めない人だって、
当然いてしかるべきです。

そして、そういう基準で集めた人たちであっても、
RAPさんのブロマガの後編にあるような話になっていく。
あの記述については、首を縦に振る人と横に振る人の両方が
相応に存在すると思います。これの是非を論じる事はしませんが、
つまりはそういう事、なんですよね。

個人でできる事には限りがある。
多くの人が関わる事でその限界が超えられる代わりに、
別の限界がそこに、自分自身の外側に生じる。

一銭にもならない、何の見返りもない、そういう事に
費やされた情熱が様々なものをドライブしていく。
言葉は悪いけど、そういう「愛すべき馬鹿」が
突き抜けた何かを成し遂げる。ある意味で真理だと思います。

そうやって言葉にすれば簡単に聞こえてしまうけど、
そこに張り付いているものって、思っている以上に大きい。
ニコマスに関わるようになり、多くの人と知り合って、
いろんな話を聞かせて頂く機会を経て、そんな事を
感じるようになりました。

たとえ一銭にもならなかろうが見返りがなかろうが、
そこには必ず、対価や代償が付いて回る。
納期や予算が足枷にならない代わりに、納期や予算がある事で
守られる一線も存在しない。そして時にそれは
当事者の周りに、何らかの形で波及していく。

好きな事を、好きの一念で続けて、突き詰めていく。
実は結構、大変な事なんですよね。

ともあれ。
RAPさんのブロマガでも何度となく言及されていますが、
その諸々を乗り越えられるメンバーが最後までやり切れた事は
ちょっとした奇跡だと思いますし、だから「3A07」は
あのクオリティで世に出る事になった。
そして奇跡ってのは、そうそう簡単に起こらないから
"奇跡"と呼ばれるわけであって。

ぶっちゃけ、今のアイマスやニコマスからそういう存在は
もう生まれてこないんじゃないか、とすら思う(笑)。
そう思う理由は次回の話でも触れることになると思うけど、
これもまた、「限界」のひとつなのかもしれません。

以上が最初の切り口、「限界」のお話。
スミマセン、一番長い話を最初に書いちゃった(笑)。

当時はここにもうひとつ、二次創作の元ネタ、母体としての
アイドルマスターの限界について書いたメモがあったんですが、
これは割愛します。あれから随分アイマスというコンテンツも
様変わりしていますし。

ただひとつ言えるのは、そういったものの母体として、
アイマスは確かにかなりのキャパシティを有していたと思いますが、
それでもそこには明確な限界があったと思うし、それは時を経て
現在に至るにつれて、縮小しているのだろうと。
以前どこかで話したけど、アイマス2のあのあずささんでは
「隣に・・・」をこういう風に背負う事はできないと思うわけで。
それはモゲマスやグリマスという新しいステージが
加わる事では解決できない類の話です。

さて、予想通りあきれるほど長話になった(苦笑)。
だ、大丈夫。次からはだいぶ短くなるから・・・。

次回はもうひとつの切り口というか問題のキーワード、
「ゴジラ対ビオランテ」でございます(笑)。
実はこれも結局「限界」の話なんですけどね。
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Author:赤ペンP
都内某所に潜伏し、ひっそりアイマスMADを製作中。表向きはうだつの上がらないサラリーマン。人生のモットーは、なだらかに昇りなだらかに落ちる放物線。

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