赤ペンPの添削日記
由無し事を徒然に書き連ねる日記。
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目から鱗、という体験
「目から鱗が落ちる」
《新約聖書「使徒行伝」第9章から》
何かがきっかけになって、急に物事の実態などがよく見え、
理解できるようになるたとえ。


大辞泉の意味はこんな感じ。
まぁ知らない人の方が珍しいでしょう。
ごくごく一般的な慣用句です。

ところで、皆さんはそういう体験ってあります?


毎度お馴染み、私の昔話になりますが。

ゲーム会社の宣伝マンの一番のお客様は、
当然、ゲーム専門誌を出している出版社の方々。
まだまだ専門誌以外の雑誌だったり、ましてや
テレビやラジオで取り上げてもらえる機会は
少なかった時代でした。もちろんインターネットなんて
テレホーダイの時代だったから言わずもがな。

で、こちらに「出版社ごとの担当」がつくように、
あちらにも「メーカーごとの担当」がついて、
やり取りが頻繁に行われます。自然とその担当同士は
仲良くなる事が多くなるわけですね。
直接荷物を届けに行って、その日は直帰だったりすると
帰る前に一杯引っ掛けて、みたいな事もあって。

そんなお付き合いのひとつです。
たまたま時間の都合がついたので、担当の人と
仕事を終えた帰りに飲みに行った時の事。

実は私、就職活動の時にはゲーム会社だけでなく
出版社もいくつか受けていました。それ以外の分野でも、
ラジオ局だったりおもちゃ系のメーカーだったり。

・・・要はこういう分野にパイプがありそうなところを
片っ端から狙っていたとも言えるんですが(苦笑)。
まぁ「就職活動必勝法」的なメソッドからは
外れまくってた酔狂なやり口でしたね、今にして思えば。

で、そんな思い出話をしていたら、いつの間にか
出版の話が酒の肴になってまして。
商売相手ですから、ゲーム雑誌の事については
私も相応に知識は合ったんですが、その方は
以前に別の雑誌の編集部にいた経験があって。

当時その出版社は、ゲームとは関係ないジャンルで
もの凄く売れている週刊誌を抱えていました。
で、話の流れでこんな質問をされたわけです。

例えば100万部売れる雑誌を持っているとして、
最初に何をしなきゃいけないか、わかります?


一応知識として、雑誌ができる流れみたいなものは
知ってはいましたが、もちろん現場経験はありませんから
マトモに答えられるわけもなく。

悩む私にその担当、ニヤリと笑いながら一言。

まずね、100万部の雑誌を作るための
紙を手配しなきゃいけないんですよ。


落ちたねぇ、音を立ててボロボロ落ちた(笑)。
恐らく現時点において、人生の中でもっとも大量で
大きな鱗が目からこぼれ落ちた体験です。
後はもう、話は一気に転がっていくわけ。

そもそも「100万部の雑誌を作るために必要な紙の量」なんて
個人の想像の範疇を超えています。で、当然だけど
その紙はどこかに保管されなきゃならない。
週刊誌だったら毎週調達しなければならない。

100万部の雑誌を印刷するためのインクはどうするの?
製本するのに必要なその他の素材は?
出来上がった雑誌はどんなルートでお店に配達する?
気がつくとタスクの洗い出しみたいになっちゃって(苦笑)。

言われてみれば、100万部も売れる雑誌の「中身」なんて
それだけの読者やマーケットを満足させられるだけの
内容や切り口を模索し続けて、トライアンドエラーを繰り返して、
それでもなお、運とか時勢とかの助けが必要かもしれなくて。

だから、少し現場から離れた時に考えるべき事って
ちょっと違うんですよ。100万部売れるだけの可能性が
ある内容を作れたとして、そもそも毎週、実際に100万部の
本を作って、届け続けられるだけの体力がなければいけない。

理想論だけではダメなんですよね。
もちろん、現実論だけでもつまらないですけど(笑)。


なるほどなぁ、と。基礎体力って重要なのね。
当時の私はまだまだ社会人駆け出しの時期でしたから、
ありがたく話を聞いていた覚えがあります。

理想と現実の接点、落としどころ。
そういうのを巧みに考え始めるとき、人間は
いわゆる「オトナの階段」を上がることになるわけです(笑)。
私はたまたま、そういうことを考えるのが
割と好きなタイプだったので、この時の体験は
随分役立ったなーと感じてるんですけど。

えー、今日はそんな感じで特にオチのないお話(笑)。
この記事に対するコメント

元印刷屋です。

出版社が作りたいものを形にするのが印刷屋です。
そのままでは実現不可能でも提案を入れて実現可能にするのが印刷屋です。
かっこよく言えばね!

印刷費のほとんどは紙です。
特に大量ロットになればなるほど紙コストをどうするかで頭を悩ませます。
紙を薄くしたり、輸入紙とかにすると価格は安くなるけど品質が危ないし、そもそも輸入紙に安定供給ができないのでなくなった時に困る。
後、印刷部数を出版社が直前まで決めてくれないと紙の手配も手遅れになりかねなくて困る。
特に、フリーペーパーなんかの地方版が存在して同時に印刷する奴は直前に部数変更されたらミスの元。

そんだけ頑張っても印刷屋さんは儲からないのよねぇ・・・。


転職したけど。
【2011/06/08 19:31】 URL | まこT #- [ 編集]


> まこTP
おお、その筋の方でしたか。スミマセンうろ覚えの話で文章書いちゃって(笑)。

確か当時はコストの話まではしなかったというか、
「アホみたいに金がかかります」の一言で終わってました(笑)。
私はデジタルコンテンツを作る側の会社だったので、
製品の原価はほとんど気にしなかったなぁ。むしろ人件費だったかな。

その後コールセンター運営の仕事に変わっても、人件費とファシリティで
いろいろ頭を悩ませたなぁ・・・。
【2011/06/08 22:40】 URL | 赤ペン #Td/ILGRk [ 編集]


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Author:赤ペンP
都内某所に潜伏し、ひっそりアイマスMADを製作中。表向きはうだつの上がらないサラリーマン。人生のモットーは、なだらかに昇りなだらかに落ちる放物線。

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