赤ペンPの添削日記
由無し事を徒然に書き連ねる日記。
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つまりは、貴方の祈りを。<その3>
ハイ、ラスト
と言っても、まぁ大体の筋は前回までに書いているので、
私の妄想を引き合いに出して考えてみるだけのお話です。
いわゆる「蛇足」ってやつかな。

どきゆりP


この作品を見る事によって赤ペンの中に醸成された物語。
もしかしたらどこかでもう考えてる人がいるであろう、
ありきたりな内容ではあると思うんですが。

手前味噌な話になりますが、赤ペンはこの前作った
竜宮小町のPVで、「プロデュース業で四苦八苦する律子」
中盤のメインテーマに据えて構成をしました。
この直近の経験則がこんな物語を導き出す、という一例です。

前回のおさらいになりますけど、赤ペンにとってこの作品は

「アイマス2の、つまりプロデューサーをやってる律子」
「誰もいない殺風景な、恐らくは社宅か何かの部屋」
「近くのスーパーかコンビニで、お買い得価格で買ってきた寿司」


という3つのお題、モチーフで出来た話です。
その前提で、この先へどうぞ。


ようやく歩み始めたプロデューサーという道。
そこで彼女は間違いなく、今までとは違う苦労を味わうはずです。
そしてそれは、きっとごく当たり前な風景でもあって。
そんなひとコマ。

プロデューサー業とは、すなわち対人接待。
だから律ちゃんのあのスーツは間違いなくいい誂えの一帳羅で、
でも新米プロデューサーの日々の生活なんて、どう考えたって
豪奢なわけはなくて。

6畳一間のワンルーム、この世代の女の子の部屋とは到底思えない、
実務一辺倒の殺風景な部屋。必要なものにはお金を惜しまない。
その代わり、必要ないものにはお金をかけない。

たまたま今日は、自室に戻って食事する時間が出来た。
でも今日も、この後に仕事が控えてる。いつもの事
自炊をするのも面倒だし、着替えてゆっくりする余裕もない。

ふと立ち寄った近くのスーパー。タイムセールで値引きされたお寿司。
うん、今日はこれでいいや。お得だし。おかず買わなくてもいいし。

部屋に戻ってその場に座り、食事を始める。

黙々と寿司を口に運びながら、でも頭の中では
ずっと仕事のことが回っていて。
他に誰が見ているわけでもないから、表情なんて
作る必要もなくて。
そういえば、最後に食事の時間を楽しみに思えたのは
いつだったっけ。

食べ終えて、一息ついたら、次の打ち合わせ。
ああ、お化粧と髪型だけは確認しないと。
とりあえず、乱れてなければ、それで。

夢だった、プロデュース業という仕事。
でも、現実は夢のように甘いだけのものではなくて。
忙しさの中で目が回りそうで。
こんな生活が、いつしか当たり前になって。
気がつけば、それに何の疑問も持たなくなって。

でもね。
私には、掴みたいものがあるんだ。
その日まで、歩みを止める事はしない。
絶対に。


・・・はい、物語を勝手にでっち上げてみました(笑)。
たぶんこういうストーリーにするのが、この動画のタイトルである
「結ぶ祈り」というフレーズに対してしっくり来るかなぁ、と。

ここにあるのは、祈りの中身でもないし、それが結ばれる瞬間でもないし、
恐らくは訪れるかどうかもわからないその時を求めている、道の途中。
タイトルが作品を説明するわけでもなく、象徴するでもなく、
逆にそのタイトルに向かって動いている状況が描かれていて、
しかもゴールにたどり着くかどうかはわからない。

マイリストのコメントによれば、BGMの曲名がそのまま
タイトルになっているようなんですが、これ、いいですよね。
私は直近の自分の体験を使って強引に繋がりを作ってみたけど、
この内容とこのタイトル、結びつけるのは難しいですよ(笑)。

前回も書きましたが、これはあくまで「赤ペンのイメージ」であり
この作品から導き出せる物語の一例です。あの空っぽの醤油差しと
エビを最後に残している点をキレイにスルーして組み立ててますから
敢えてそっちに焦点を当ててもいいし、またこの部屋の内装が
あまりと言えばあまりに殺風景ですから、そこから広げてもいい。

そう言えば「この律子はエロい」というコメントがありましたけど、
そりゃもう当然過ぎるくらい当然ですよね。仕事一筋の生活、
ある意味「女を捨てている女」から、それでも隠し切れずに
匂って来るようなむせかえる空気がありますよ、これ。
しかも日常をこうやって見ている我々の視線は、気がつけば
完全に「盗撮」とか「覗き」のそれになっちゃってるわけで。
それがエロくないわけがないだろうと。

この「結ぶ祈り」と比べた時、私が20選で選んだ
「9月なのに暑い」の方は、はるかにわかりやすいと思います。
「2010年の夏は暑かった」という、見ている側の共通認識
作品の前提にあり、そこへ向けて誘導する流れ。
僅かではあるけれど、動画の中に状況変化が描かれているし、
何より、そのオチをタイトルで最初にドカンと明示している。
この作品、実は伊織のあの表情がオチじゃないんだよね。
その意味で、前回書いた「不安」というのは存在しなくて。

両者に共通しているのは、止まりそうで止まらない「間」。
「何もしていない」のではなく、「何もしないことを選択する」
ことによって、見ている側に考えさせる。

その「何も起きない状況」を支えるのが、絵の特性かな。
もちろん上手くないと「何もしない状況を支える」事は
出来ないし、むしろ絵そのものはちゃんと完結していなければ
「それゆえの不安」は煽れない。でもそれだけじゃ不十分で。
例えばこの作品が、カッチリしたアニメ絵で描かれていたとしたら
面白味はないと思うんです。そういう巧拙では語れないニュアンス

例えばどちらの作品からも、赤ペンは「視線」を感じませんでした。
画面のこちらに向かってないのはもちろん、作品内にあるモノに対しても
曖昧なベクトルしか感じなくて。それもひとつの不安、ですよね。
他にも挙げればキリがありません。私個人がこんな具合なのだから
見ている人ごとにそれぞれ、ツッコみたくなる要素が色々あるでしょう。

そういう全ての事象を丸々飲み込んで、ただそこに在る。
人にみられて完成する作品のクセに、誰も見ていなくても、
この作品はここに悠然と鎮座しているんだろうなぁ。
底が知れない作品だなと、改めて感じます。


さて、長い長い語りもここでひと区切り。
正直なところ、あまりに自分勝手に解釈しちゃってるので
バレたら怒られるんちゃうか?というか、内容の如何を問わず
そもそもこんな風に考察される事自体好ましい話じゃないような
そんな気もしますので(苦笑)、その場合は素直に
お詫び申し上げる次第でございます。

でも、それはしょうがない。
この動画は、絵そのものが持つ力をてこにして、
見ている人それぞれが考える事で完結する作品。
そういう風に感じたから、私は私が思うように
この作品を「結んでみました」。

さて、あなたはこの作品を見て、どんな「祈り」を「結びますか」?
この記事に対するコメント

三題咄に合わせて3エントリーに渡ったのは分かった。
なので
ゆとり世代のオイラにも分かるように三行でまとめてくれw
【2011/01/22 07:06】 URL | た。 #- [ 編集]

結祈
初めまして。アレの作者です。

拙作をこんなに大きく採りあげていただいて、もう作者冥利に尽きるような気分です。あんな意味不明な
内容でも、(むしろ不明だからこそ?)こちらから投げかけた以上何らかのレスポンスがあると嬉しいもの
ですが・・・・ここまで詳細な解釈を書いてもらえるとは予想していなかったので、今更ながら頑張って
作って良かったなぁと思えました。どうもありがとうございます。

せっかくなのでこの場をお借りしてゴチャゴチャ喋らせてもらいますと・・・
(ガッカリさせるような内容になるかもしれませんが)

まず「シュール」についてですが、私はマグリッドやキリコ、ベーコンなんかは大好きですけど趣味的に
好きというだけでシュルレアリスムそのものについてはあんまりよくわかってないんですね。むしろ今回の
動画ではエドワード・ホッパーみたいなうら寂しい感じにしたいな、という憧れがあったんですが、どうも
ズレた事をしてしまったようです。
それというのもこの動画は、「結ぶ祈り」という曲にひたすらフィーリングで引きずられるようにして
出来上がったもので、いまいち私の意志が介在していないというか、平たく言えばコレがなんなのか私にも
よくわかってないんです。
曲を聞いて自然と浮かんできた情景を形にしようと躍起になっていたんですが・・・これは単なるジョーク
なのか、それともシリアスか、一体どの辺が面白いのか、何のために作っているのかが自分でも全然サッパリ
つかめなくて、非常な混乱を伴ないながら描きこんでいました。そういう不安定が視聴者の方々にダイレクト
に流れ込んだのかもしれません。
赤ペンPの結んだ解釈は、私がイメージしている物語とだいたい同じです。しかしそれすら、作っている最中に
「もしかして自分はこういう話にしたいのかな?」と自分で推測する始末で、結局作者の本意は謎です。
実のところ食事してるシーンが描きたかっただけなんじゃないのかとも思われます。
ただ曲から生まれた動画なんだから、曲のモヤモヤした印象だけは大事にしようと気を配った覚えがあります。
最初は千早でやろうと思ってて、でも竜宮Pの律っちゃんの方が不安定そうだから取り替えて、寿司の種類
や数はアレだからこう揃えて、目線もなるべく虚ろにして、と。作りながら作っていたような感じでした。
あと、客観的に観たときに全く意味不明になってしまったとしても、単純に性的な意味で楽しめるように
頑張って描いたような気が。口の動きも、「覗き」的な映し方も。でも映像作品としての完成度については、
ちと未熟さが露呈してるなと後悔の多い作品となっております。

私は普段ギャグ系のノベマスを製作してますが、そういう時でもたいていはツッコミ不在で、視聴者コメント
にツッコミを依存するような作品ばっかり作っています。それでいいんだーと思って調子に乗って、行き
着いた所がこの動画なのかなぁと思いました。一人で面白い作品を作り上げるほどの自力があると自分では
とても思えなくて、だから他者の協力を要請してるみたいです。単純に絵を描く時でもそうなんですけど、
自分で一生懸命に描いた絵よりも、絵の具を混ぜたパレットの方が綺麗になっていることとか、よくあるん
ですよ。それは作り手としては結構悲しい出来事ですけど、それを逆手にとって楽をする事もできるんですね。今回は特に、材料だけ持ち込んで視聴者に結んでもらうという楽をさせてもらったんだなぁと、赤ペンPの文章
を読んで改めて実感した次第です。
重ねてお礼申し上げます。
【2011/01/24 03:20】 URL | どきゆりP #klcj.0UQ [ 編集]


まさかの事態に薄味レス失礼!!

> た。
・絵の持つ強さが図抜けてて、余計な策を弄していない
・そのギャップを見る側が補完しようとして多角的に見てしまう
・つまり、考えたら負けな作品の代表格と言っていい
こんなとこでひとつ。


> どきゆりP
本ブログ久々の本人降臨ktkr!はじめまして!!
ヤベェ、見られたと知って急に緊張してきた(笑)。

しかもこれだけコメントを頂いてしまいましたので、
ちょっと大袈裟になって申し訳ないんですが、明日あたりに
別エントリでお返事させて頂ければと思います。
コメント欄だけじゃ足りなさそうなんで(笑)。

取り急ぎこちらではコメントの御礼を。
今後ともどうぞよろしくお願い致します!
【2011/01/25 01:38】 URL | 赤ペン #Td/ILGRk [ 編集]


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Author:赤ペンP
都内某所に潜伏し、ひっそりアイマスMADを製作中。表向きはうだつの上がらないサラリーマン。人生のモットーは、なだらかに昇りなだらかに落ちる放物線。

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